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平成21年6月 | |
山中統一郎 |
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筆者(42年卒)は3度目の正直。他のメンバーも、それぞれ2度、3度。今回隊長をお勤めいただいた岡田先輩(38年卒)に至っては、なんと4度目の挑戦で、メータークラスのタイメン(和名イトウ)を狙う。ブランドルアー“ザンマイ”を製造販売する、39年卒小平先輩のご子息、豊氏がメンバーに加わったのは心強い。 |
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地の果てへ |
嗚呼、“近代化”! |
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車は通わなくても、ヘリは飛ぶ。この辺境の地にも欧米人が多数訪れて、彼らのニーズを満たす建物が建ち、電灯が灯って、シャワーが出る(出るはずであった)。ビーツのスープを上手に作る専属のコックも居れば、快適な夜を保証する素敵な薪ストーブもある。トイレはどっぽん方式であっても、腰掛け方式であり、深さも5mはあって中身まではうかがえず、まずは快適と言ってよい。 しかし、だ。天国に地上の造作は似合わない。釣り場に空きカンなどを見つけることは、とても悲しいことだし、ガイドや運転手にチップをやる習慣が根付いてしまったことも本当に残念だ。誰だって、天国まで来て、カネの話はしたくはないだろう。 ウランバートルの喧噪、交通渋滞。次々に立つガラスのビル、アパートの群れ。Café,Pub,Clubの類の英語の看板、胸をはだける若い女性。来る度に、“アメリカ”が近くなる。 地球上でもっとも手垢がついてないと思われたモンゴルで、年々大きな魚が釣れなくなっていると言う。釣りのルールが導入されたこと自体が、それを雄弁に物語る。豊穣の楽園は、どこへ行ってしまうのか。天国のこれ以上の“近代化”だけは見たくないものだ。 |
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完 | ||